情報とスピード、これが基本です」顧客ニーズに適した候補地があっても、一つだけでは顧客は選びようがない。
候補地が二つ、三つあれば、それらを見比べて顧客は判断できる。 N・ネットのレベルでいえば、一〇件ほどの売地情報では顧客ニーズとなかなかマッチングしないが、売地情報が一〇〇件になれば、かなりの確率でマッチングしやすくなるという道理である。
このように、顧客ニーズ情報と売地情報を増やすことがNの課題なのだが、最近の売地候補には相続案件や破産案件が増えてきており、金融機関の管理下にある案件も多く、その価格をどのように設定するのか、土地の売買に関して、いかにリスクヘッジをつけていくかという新たな問題が出てきたという。 「むずかしい問題に直面することも多くなり、勉強することが増えてきました」H氏はNの株主であるNt率いるレッグス・ホールディングスが開催する「パートナーズフォーラム」に毎回のように参加している。

最近はNの社員も出席し、顧客を大切にすることを何よりも重視するRhの社風に接し、他業種であっても好影響を受けているという。 このフォーラムは、顧客に最高のサービスを提供するために、各店舗において提案・実行した成功体験を発表・共有化するためのイベントである。
同社では、アルバイトを中心とする現場スタッフたちが、みな、経営の参画意識を持ち、各店舗での業務改善活動を率先して促進しており、彼らのモチベーションの高さには、N社員も大いに感化されているようだ。 「サービス業のこうした勉強会に出席すれば、彼らがいかにお客さまを大切にして仕事をしているかがわかります。
そのほか、いろいろな種類の勉強会を継続的に実施しており、この業界では、こうした取り組みをしているところはめずらしいことだと思います。 勉強会の成果として、以前は感覚的に処理していたものを、書面に落とし込んで検討し、これからの方針や組み立てを考え、そのうえで行動に移すようになっており、結果として生産性も上がっています」こうした勉強会を通じてH氏らがめざしているのは、従来型の不動産業ではなく、顧客満足を第一とするサービス業への移行だという。
「業界の常識は世間の非常識」というのはよくいわれる言葉だ。 Nでは、休みの日に同じ業界だけを見るのではなく、異業種と交流するなど、自分のために自己啓発に取り組むことを社員にすすめている。
それによって仕事のポテンシャルが高まるだけでなく、多種多様な職種に携わる顧客の気持ちを理解することにもつながるからだ。 常に顧客を大切にする姿勢を貫くこと。
それは、同社の企業理念にある「自社の事業を『真のサービス業』ととらえ、最適な『住空間』と『暮らし』を提案していきます」という言葉の実践であり、「住生活総合のサービス業「 をめざすことにほかならない。 こうした日々の活動を通じて、顧客への徹底したサービス精神が、Nの社風として醸成されていくのである。
H氏の顧客満足度をなにより重視するサービス業への思い入れの強さは生半可なものではない。 では、Nの企業理念に記されている「真のサービス業」とは、どのようなものをイメージしているのだろうか。

H氏は、次のように説明している。 「欧米のレストランのウェイターやウエイトレス、ホテルのボーイたちは、基本給に加えて、お客さまからのチップで生計を立てています。
これがサービス業の「あるべき姿」だと思います。 彼らのようなサービス業のプロは、お客さまの気持ちを察して、気持ちのよい時聞をすごせるようなサービスを提供できる人たちです。
ふだん、ウェイターには一〇〇円のチップしか払わないお客さまが、そうしたプロのウェイターには気分よく二〇〇円払うものです。 ここで重要なのは、顧客がウェイターに対して「気分よく」 二〇〇円を払う点にある。
ウェイターのサービスに満足した顧客は、「ありがとう」という気持ちで一〇〇円をプラスする。 ウェイターは顧客のオーダーを受け、プロとしての提案もしながら、顧客に満足してもらえるように精いっぱいの努力をする。
「サービス業のプロというのは、お客さまのかゆいところに手が届き、その要望に応じて最適な提案ができる人です。 お客さまの思いを実現するために、先回りして明確にアドバイスできるプロ集団、それが、私たちがめざしている『真のサービス業』のあるべき姿だと思います。
そのために、私が日ごろからいっているのは、「目配り、気配り、心配り」 の大切さです。 いつも目配りをして状況を把握し、お客さまの要望に気配りをして対応する。
ここまでならばできる人はかなりいるのですが、私たちはお客さまが思い描く目標に先回りして提案し、満足していただけるように心配りまでできるようにしたいと考えています。 そこまで配慮する気持ちが、プロのサービスには求められるのです」顧客に最高のサービスを提供するには、Nが顧客の立場から発想する必要がある。
同社のようなデベロッパーの仕事では、一般的に住宅の商材メーカーや現場の施工会社など、関係する企業の顔色をうかがってしまいがちだが、常に顧客がどう感じるか、何を求めているのかといった、これからそこで生活するエンドユーザーの視点からサービスを発想すべきだとH氏はいう。 「『Y』や『G』は、いま顧客から支持されている企業といっていいでしょう。

両者に共通するのは、それぞれ原材料メーカーや生産者との関係もいろいろあるでしょうけど、あくまでもエンドユーザーの満足度を見ているという点でしょう。 その服を着るお客さま、店で食べるお客さまがどのように感じているのか、そこから必要なサービスは何か、どんな商品を開発すべきかを常に考えています。
その結果、再びあの店へ行こうとか、今回もあそこで食べようというリピーターが増えていく。 こうした顧客本位の姿勢は、私たちも学ばないといけないと思いますね」真のサービスを推進していけば、そこにNのファンが生まれ、自然とリピーターが増えるというのがH氏の持論である。
過剰なサービスをする必要はない。 顧客に誠実に対応しながら、気の利いたサービスをしていけば、Nの好感度はおのずと上がっていくはずだ。
「マイホームを建てたお客さまから、Nに頼んでよかった、あの担当者はよくやってくれたと感じてもらえるようなサービス、お客さまの「記憶に残るサービス」を提供したい。 それを積み重ねていけば、Nのファンが生まれて、そこからリピーターが出てくるし、こちらが黙っていても、新たな顧客を紹介してくれるようになるはずです。
こうした好循環を、私たちはつくっていきたいと考えています」本来、不動産業というのは、リピーターをなかなか生み出しにくい業界である。 定期的なメンテナンスはあるものの、竣工後、顧客に物件を引き渡してしまうと、その後の関係が途絶えてしまいがちだ。
「お客さまにもよりますが、「記憶に残るサービス」を提供していけば、竣工後も自然なコミユユケーションが継続できるはずです。 そうした関係のなかで、なにかと声をかけていただいて、時には補修をしたり、メンテナンスを追加するケースもあるかもしれません。

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